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皆既日食を観察しよう



2009年7月22日(水)11時頃から12時30分頃、1963年7月21日から実に46年ぶりに日本で皆既日食が観察できます。次回は2035年9月2日となります。日本全国で部分日食を観測できます。東京でも約4分の3まで月が太陽に入り込みます。正しい観察方法で太陽と月が起こす天体ショウを楽しみましょう。


1.日食とは

「日食」とは、月が太陽の前を横切り、太陽の一部や全部が隠される現象です。太陽が月によって全部隠れる現象を「皆既日食」、太陽の中に月がスッポリはまって、太陽の光が月の回りからはみ出して金の環の様に見える現象を「金環日食」と呼びます。月が少し重なって太陽の一部が見える現象は「部分日食」といいます。

図1:国立天文台参照
 図2:国立天文台参照
 
図3:十島村公式サイト参照

日食各地予報--国立天文台(暦計算室)
http://www.nao.ac.jp/koyomi/

2.日本における日食の見え方
7月22日の日食は、日本全国で部分日食を見ることができます。特に、口永良部島、屋久島、トカラ列島の島々、喜界島、奄美大島の一部、種子島の一部などは皆既日食帯と呼ばれる地域になり、皆既日食が見られます。
 図4:国立天文台参照

 日食の欠ける深さを「食分」という数値で表します。食分0.1とは、太陽の直径の10%まで太陽面上に月が入り込み、太陽が欠けることを意味します。札幌では食分が0.506と約半分ですが、東京では0.749と約4分の3まで月が入り込みます。また福岡で0.897、那覇で0.917と、それぞれ約90%まで月が入り込む深い部分日食です。
 図5:国立天文台参照

 おもな地点における、日食が始まる時刻・最大になる時刻・終わる時刻は以下の表です。

地名 食の始め 食の最大 最大食分 食の終り
 札幌  10時04分30秒  11時10分18秒  0.506  12時16分03秒
 仙台  9時59分09秒  11時12分52秒  0.657  12時26分24秒
 東京  9時55分33秒  11時12分58秒  0.749  12時30分20秒
 大阪  9時46分58秒  11時05分28秒  0.822  12時25分22秒
 京都  9時47分40秒  11時05分52秒  0.809  12時25分21秒
 福岡  9時37分39秒  10時56分05秒  0.897  12時17分48秒
 那覇  9時32分50秒  10時54分7秒  0.917  12時20分19秒


3.皆既日食が見られる地域
地名 食の始め 皆既食の始め 食の最大 最大食分 皆既食の終り 食の終り
屋久 9時37分06秒 10時56分10秒 10時58分07秒 1.008 11時00分05秒 12時22分37秒
悪石島 9時35分25秒 10時53分16秒 10時56分28秒 1.039 10時59分41秒 12時21分26秒
奄美 9時35分21秒 10時55分58秒 10時56分53秒 1.002 10時57分48秒 12時22分26秒

このほかの地点での詳しい様子については、「日食各地予報」(暦計算室http://www.nao.ac.jp/koyomi/)で「2009/07/22皆既日食」を指定して調べることができます。

 4.日本で皆既日食や金環日食が過去観察できた、今後観測できる地域と年月日

年月日    中心食の種類 見られる地域  
 1963年7月21日  皆既食  北海道東部など
 1987年9月23日  金環食  沖縄本島など 
 2009年7月22日  皆既食  トカラ列島、屋久島、種子島・奄美大島の一部など
 2012年5月21日  金環食  トカラ列島、屋久島、種子島、九州・四国・近畿・中部・東北の一部、関東の大部分など
 2030年6月1日  金環食  北海道の大部分など
 2035年9月2日  皆既食  中部・関東の一部など

過去の日食についての情報--国立天文台
http://www.nao.ac.jp/phenomena/20090722/past.html

 5.観測に際しての注意
太陽はたいへん強い光と熱を出しています。部分食のときには、太陽の一部は月によって隠されていますが、光や熱が強いことに変わりはありません。正しい方法で観察しないと、目を痛めたり、最悪の場合失明したりする危険性があります。肉眼で直接太陽を見ると、たとえ短い時間であっても目を痛めてしまいます。
※絶対やってはいけないこと
 下敷きやCD、フィルムの切れ端、すすをつけたガラス板、サングラスやゴーグルなどを使って太陽を見るのもいけません。
 
太陽を直接見ることは
数秒でも危険です
 
望遠鏡や双眼鏡は×
太陽観察用専用機はOK
 
下敷きやCDを使うは×
 
フィルムの切れ端を使うのは×
銀塩の露光した白黒ネガはOK
 
ガラスにススを塗るは×
 
サングラスやゴーグルは×
 
日食グラスを使って望遠鏡
や双眼鏡を覗くのは×
図6:国立天文台参照 

見た目ではあまりまぶしく感じなくても、光の遮断が不十分なものや、目に見えない赤外線を通しやすいものがあり、気づかないうちに網膜が焼けてしまう危険性があります。
 望遠鏡や双眼鏡は、太陽の光や熱を集めて強くするため、肉眼で太陽を見る以上に危険です。
※観察は安全な方法で
 手鏡に太陽を反射させて壁に太陽のかげを映して見る方法。紙に穴をあけその穴を通る光が太陽の形になる、麦わら帽子や木漏れ日を通る光が太陽の形になる方法で観察するなど安全な方法で観察しましょう。
図7:平野岳史氏撮影   図8:国立天文台参照 

 専用の日食メガネ(可視光で0.003%、赤外線(波長780〜1500ナノメートル)で0.5%以下の光しか通さないのが安全なフィルター)、観察用フィルター(金属蒸着シート)、太陽専用の望遠鏡や双眼鏡の中には、フィルターを内蔵したタイプや投影式望遠鏡があります。望遠鏡の接眼部の後ろに太陽投影板を取り付ければ、大勢で見たり、スケッチをとったりすることができます。直接太陽を見ないので安全です。

日食の正しい観察方法--国立天文台
http://www.nao.ac.jp/phenomena/20090722/obs.html
日食についての情報やシュミレーション、日食観察用品の紹介--Astro Arts
http://www.astroarts.co.jp/special/20090722solar_eclipse/

 
6.日食を観察してみよう
7月22日には、いろいろな機関でリアルタイムで皆既日食の様子を伝えます。日本各地で部分日食が観察できます。

2009年7月22日の皆既日食を各地から中継--世界天文年2009
http://www.astronomy2009.jp/ja/project/eclipse/index.html
気象衛星「ヒマワリ」を使ってリアルタイムで宇宙からの皆既日食を実況中継--デジタル台風
http://agora.ex.nii.ac.jp/digital-typhoon/solar-eclipse/20090722/
トカラ列島での皆既日食に関する情報--十島村公式サイト
http://www.tokara.jp/kaiki/nissyoku/index.html
 7.日食に関する伝承なども調べてみよう
 古来、日食は太陽が病んでしまったと考えられていました。天照大神の天野岩戸伝説にも表れています。日食があると冷たい雨が降り海が荒れるという言い伝えのある地方もあります。歴史と科学、違った視点で調べてみるのもおもしろいかも知れません。

星の伝承
http://www.aa.alpha-net.ne.jp/starlore/densho/star_list.html
星の伝承研究室
http://www2a.biglobe.ne.jp/%7Ekitao/hoshi.htm
星・人・暮らしの博物館
http://www.geocities.jp/north_tail_kk/index.html


参考文献
・理科年表 平成21年 ポケット版
・天文年鑑〈2009年版〉
・藤井旭の天文年鑑 - スターウォッチング完全ガイド〈2009年版〉
・天体観測☆100年絵事典 - 未来の宇宙カレンダー 日食・すい星の観られる日が予測できる!