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3Dプリンター |
3Dプリンターは3次元CADソフトや立体計測スキャナーで取り込んだ画像などで作成した3次元データを立体に造形してくれるプリンターを総称していう。主な方式は光造形型、積層型、粉末型、インクジェット型などがある。産業用の金型の原型となる高精細なものから、簡単なフィギュアまで、材料は石膏、樹脂、金属、複合材等様々な素材での作成ができるようになっている。パソコンに3Dプリンターをつなぐだけなので、工業デザインから建築デザインまで応用範囲が広がっている。 作成材料の多様化も進み、医療用の人工骨なども作成され、その人にあった形状の人工骨が簡単に作れるようになっている。また、簡単に複雑な形状のものが作れるため、試作品などでは、透明な樹脂を使って内部構造まで確認することができる。また、安価な数万円から数十万円台の小型の3Dプリンターも出てきており、ボタンや装飾品、美術・工業教育の一環として造形物の制作にも使われはじめている。 |
1)歴史と方式 |
3Dプリンターはラピッドプロトタイピング( rapid prototyping)、試作品を迅速に(rapid)試作(prototyping)するために開発された3次元造形機器として、1970年代にアメリカ、日本など先進諸国で研究がはじまった。1980年日本の小玉秀男が特許出願したのが始まりとされる。 実用化がはじまった1980年代当初は、3DCADを使ったCAD/CAMといわれるコンピュータ制御の金属加工機(金属を削るという加工方法)からヒントを得て、3DCADデータでプリンターのようにレーザー光を縦横に動かして光を当てて樹脂を固めて作る方法が主流となっていた。 1990年代後半から工業化のスピードが速まり様々な方式が開発されている。まだ進化途上でもある機器である。 1)光造形型 光(紫外線)を照射することで硬化する液体樹脂を用いた造形法。初期のラピッドプロトタイピングはこの方法から始まった。 ステレオリソグラフィー、レーザーリソグラフィーなどともいわれた。 紫外線の照射によりラジカル重合、もしくはカチオン重合する樹脂を用い、絞った紫外線レーザービームで樹脂を選択的に硬化させて立体物を造形する手法が最も多いが、一部に面一括露光により造形する手法も開発されている。 バスタブのような大きな液体樹脂を入れる硬化槽が必要で、大型の複雑な機械となったため数千万円から安いものでも数百万円と高価格となっている。作成できる樹脂も限られているが、高精細な金型の原型や大型の試作品に向いている。 2)積層型 製品の3次元CADデータをスライスし、薄板を重ね合わせたようなものを製造の元データとして作成し、それに粉体、樹脂、鋼板、紙などの材料を積層して試作品を作成する。意匠性が高いデザインの試作品の製造も可能であることが特徴である。 a)熱溶解積層型(FDM法) 光を使わず、熱でドロドロに溶かした樹脂を土台となるサポート用樹脂の上にノズルで吹き付け、冷やして固める方式で、材料に幅があり、本物の熱可塑性樹脂が使用できる。硬くて耐久性に優れるABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、PC/ABSアロイ、PPSF/PPSU樹脂、ULTEM(ポリエーテルイミド:polyetherimide)樹脂など熱可塑性の様々なエンジニアリングプラスチック(Engineering plastic) などの原料が使え、出力品がそのまま製品として使え、冶具や少量多品種の部品としての利用もされている。CTスキャンのデータを使い人工骨や歯型など医療分野での活用もされ始めている。価格帯も数十万円から数千万円と幅広く、利用範囲が広がっている。 b)インクジェット型 樹脂を溶かさず樹脂の微粒子をサポート用樹脂の上に吹き付けて光(紫外線)で固めて作成する方式で、より簡易な設備での3次元造形が可能となっている。樹脂の粒子の大きさや原材料の開発が進んでいる。価格帯も数十万円から数百万円と実用段階に入っている。 現在、ミクロン単位の樹脂の微粒子を吹き付けて造形の精度を高めたものが開発され、人工血管など微細な製品を作ることができ、医療分野などでの活用が進んでいる。高精細なものが作られる利点の反面、制作時間の長さがデメリットとなっておりスピードが今後の課題でもある。 c)粉末型 素材粉末を層状に敷き詰め、高出力のレーザービームなどで直接焼結(粉末焼結式積層法)する方法、インクジェット方式でバインダを添加して固めて(粉末固着式積層法)造形を行う方法で、粉末焼結式積層法には原料として、、ナイロンなどの樹脂系材料、青銅、鋼、ニッケル、チタンなどの金属系材料などが利用できる。粉末固着式積層法では、スターチ(デンプン)、石膏などの材料が使える。 粉末固着式積層法は、もっと安価で早くできることを目的として、樹脂の粉末とのりを交互に吹き付けてそれにインクで色をつける方式で、簡便に製品が作られる。フィギュアや装飾品の制作、教育用に利用され始めている。価格も数万円から数十万円と一般のプリンターとかわらない金額で購入することができる。デザイン事務所のプレゼンテーションや建築設計事務所での模型に代わるものとして幅広い利用範囲が広がっている。 |
2)どんな製品やメーカーがあるか |
Object、Connex、Edenシリーズ ストラタシス・ジャパン 本社 〒261-8501 千葉県美浜区中瀬1-3 幕張テクノガーデンB-21F ZPrinter、Spectrum 3D Systems 333スリーDシステムサークル ロックヒル、サウスカロライナ29730 USA SLAシリーズ 株式会社スリーディー・システムズ・ジャパン 東京都世田谷区三宿1-13-1 東映三宿ビル6階 Blade-1 株式会社ホットプロシード 〒819-0043 福岡県福岡市西区野方5-52-18 Cube 3D、CUBEX FEATURES CubifyR, CubeR, and the 3DS logo are trademarks of 3D Systems, Inc. Lunavast 有限会社エイジアネット 〒418-0022 静岡県富士宮市小泉2533−20 MakerBot Replicator Makerbot Industries, LLC One MetroTech Center, 21st Floor, Brooklyn, NY USA 11201 MakiBox Makible Limited Incorporated in Hong Kong BR 58216271 Solidoodle Solidoodle THE FORM1 Formlabs |
3)3Dプリンターの導入や簡単説明 |
・3Dプリンター初心者オーナーのための役に立つコツ |
4)3Dデータの作成方法 |
a)3次元CADソフトで作成する 基本的には、工業用の3次元CADで作成した3次元データをSTLファイルに変換して利用するのが一般的だ。医療用CTスキャンなどで撮影されたデータも活用することができる。3次元CADは無償のものから数百万円まである。 b)3次元CGソフトで作成する アニメーションや3次元ゲームキャラクターなどをつくる3次元CGソフトで、無償から数百万円まである。 画像を簡単に3Dプリンター用データにできるアプリケーションの「OmNomNom」がある。これは、MakerBotのコミュニティーサイト「Thingiverse」から手に入れることができる。「Thingiverse」のメンバーがデザインした新アプリ「OmNomNom」は、CADの専門知識や技術がまったくなくても、写真やjpgファイルなど、どんな画像でも3D化し、3Dプリントを可能にする簡単な方法を提供してくれる。細かいディテールより見た目重視のフイギュアなどの場合に有効。 c)3次元スキャナで取り込む 3次元スキャナで取り込んだデータを修正ソフトを使い3次元データとして作成する。 MONOist「お気軽だけど侮れぬ。3次元スキャナで遊んでみた」 |
注:3Dプリンターは、市場の50%をストラタシスが持っており、スリーディー・システムがそれを追っている。安価な機器はベンチャー企業が多く、購入に関しては実績のある代理店を使って購入するのが望ましい。 |